小説 第3弾

 

またまた、恥の上塗り小説の不定期掲載の第3弾です。昨年の10月17日号の

続きです。またまたとても遅くなり、すいませぬ。事実とフィクションが混ざって

いますがかなり事実に近いです。どひゃーっ。


夜半、微熱の頃を過ぎても  連載第3回


 

 

 

 

◆第 3 章 3年6組のクラス・メートたち

 

この年の秋、生徒総会は荒れた。規制だらけの高校生活の改善を求めるべく、政府から通達された高校生の政治活動禁止に対する反対動議、生徒会そして文化祭の自主運営、制服の自由化を求めて次々と議題を一部のグループが提出したが、ことごとく教師からの反対でつぶれ、また一般生徒の理解も得られなかった。受験校としてのK高校の在り方を支持する生徒も多数存在していた。

 

Hはこの高校で36組に在籍していた。その6組の担任、K太郎は、誠実ながらもごりごりっとした感じの体育教師で、時代の変化に対して理解が乏しく、健全な肉体に健全な精神が宿ることに疑いを持つことはなく、何事にも相談できるとか、相談したいタイプの担任ではなく、無視か敬遠かというタイプだった。

 

そのクラスで社会や政治に関心を持っていたのは、剣道班のA野、そして体操班のD2人だった。どうやらこの2人そしてこのHにも、スポーツのクラブ活動を通して、健全な精神が宿らなかったらしい。

 

さらにこのクラスには、ロック音楽愛好グループが存在し、後に音楽評論家となる中村とうよう編集で評価の高かった音楽雑誌、ニュー・ミュージック・マガジンに掲載されている新譜アルバムの評価点数を基に、評判の良いレコード・アルバムや個人が推薦するレコードを誰かが購入して鑑賞する集まりがあった。

 

この世代は中学生のころからラジオから流れる洋楽を聞いて育ち、そしてビートルズやローリングストーンズが次々とヒット曲を生み出していて、ポピュラー音楽界は活況を呈していた。DHも洋楽が好きで、特にDは根っからのビートルズ好きでほとんどのLPを所有していた。

 

このグループの中心人物は、父親が計測器関係の会社を経営しているSSという名前の同級生だった。SSはH達の大半がサラリーマン家庭であったのとは違い、都心に一戸建ての大きな住宅に住み、金持ちの部類に属していた。SSは、高校2年の夏休み中には、突然、ソウル・ミュージックにはまりディスコに出入りして遊びまくり、夏休み明けは、ディスコ好きな連中に流行していた、油をたっぷりとつけ、真ん中から左右に分ける派手な髪型で登校してきて、クラスの皆から好奇の視線を浴びた。SSは、質素な高校生が多いK高校では軟派で、異質で、しかも楽しい同級生だった。

 

サッカーのクラス対抗試合の翌日の木曜日は6時限の授業が待っていた。封鎖に参加することを決めたので、授業を受けるのは気乗りがしなかったが、これからの動きを察知されてはいけないので、いつも通り授業を受けろという指示が、封鎖グループから出されていた。やっと授業が終わると、SSHのそばへやってきた。もう、3年6組のクラスにはDを含めた数人の生徒が残るばかりで閑散としていた。

 

「ねえねえ、H 。この間、学校を封鎖するっていってたけど、まだなの」

 

「ちょっとこっちへ来い。小さな声でしゃべれよ。今度の月曜日だよっ。絶対秘密だからな。」

 

「わかってるって。封鎖したら、食料持って慰問に行くからさ。楽しみだね。」

 

「あのなー、ガキが秘密基地作って、そこでオヤツ食べるのとは違うんだよ」

 

「わかってるって。でも、楽しみだね。学校が休みになるって最高。受験勉強もちょっと小休止でしょ。クククッ。ほんと楽しみ」

 

「あのね。こちらは悲壮感もってやるんだよ。わかってる?

 

「わかってるって。とにかく、僕は封鎖の仲間には入れないけどさ、ほしいものあったらなんでも言ってね。それから、今日、家にこない。すげーバンド、グランド・ファンク・レイルロードのデビューLP買ったんだ。本当にすごいんだ、このバンド。秘密のウィスキーもあるしさ。」

 

「秘密のウィスキーって、サントリー・レッドだろ。あれは、不味すぎるよ。お前んちなら、スコッチでジョニ黒とかあるだろう。もっとマシな奴。俺んちにだってジョニ黒あるよ。親父の管理が厳しくて手も足も出ないけどさ。まあ、でもウィスキーってそんなに好きじゃないから、何でもいいけどさ。そうだDも一緒にその新譜聴こう。自暴自棄って漢字書ける? そんな感じになってきた。おい、D、こっちに来てよ。」

 

「その漢字正確には書けないけど、そんな気持ちはわかるよ。このグランド・ファンク・レイルロードを聞くと、自暴自棄っていう気持ちにもっとなれるんじゃない。景気づけになるくらい良いと思うんだ。へへっ。Dも来てね。」

 

SSは少し離れていたDに向かって、振り返った。

 

「なに? こんな時に、ロックの新譜? HSSも気楽だな。まあ、いいか。深刻にしててもしょうがないし。行こう。」

 

放課後、HSSDと連れ立ってM小山駅から電車にのりM黒駅で降りた。そして駅前のバス停から、S橋行きのバスに乗り、SSの家に向かった。

 

グランド・ファンク・レイルロードというロック・バンドは、ブリティッシュ・ロック一辺倒の1960年代、その後半になってアメリカから彗星のように現れたハード・ロック・バンドだった。ギター兼ボーカル、ドラム、ベースの3人編成で、あまりテクニックはないが、判りやすいハードロックを大音量で演奏するこのバンドは、この年の1969年にデビューしたばかりで、新しいもの好きなSSはこのファースト・アルバムを、渋谷の道玄坂にあるヤマハで輸入版を購入していた。そしてこのアルバムには、【ハート・ブレイカー】という失恋の歌が入っていたが、その曲はHにとってその後、忘れられない存在となっていく。

     気がつけば ハートブレイカー 冬が来る

【続く】

 

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小説 第3弾 への2件のフィードバック

  1. おが より:

    待望の第3回発表 おめでとうございま~すう。うん~ホギャー十年前の記憶力・・・さすがでやんすなー。ビックリするくらいリアルでやんすね。田舎の学校と比べて、東京は流行り物に敏感なんですね。隠れてアルコールを呑むのは一緒ですけどね。 次回期待します。

  2. ヨーガ より:

    おがちゃん賛江記憶は事実と妄想でごちゃごちゃとなっとるです。青春ロック&政治小説は、その後、探偵団物語となるはずですが、そこまで辿りつけるきゃなあー。それが問題だ!  あれっ、ウィスキーが無くなっている。

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